森の里低区配水池耐震補強設計
森の里低区配水池は直接受益者への配水を行っていない施設で、より標高の高い場所に配置されている森の里高区配水池へ水を供給する中間施設の役割を担っています。
構造は「無梁式鉄筋コンクリート造」で大部分が地下に埋まっている単独水槽であるため、耐震補強に伴って内部に進入することが困難な施設となっていました。
このため、耐震補強対策として軽量盛土を用いて周囲の土圧軽減を図ることで、耐震性能を満足させるかたちで検討を行い、躯体本体の耐震工事を省略して経済設計とすることができました。
加納浄水場急速ろ過池詳細設計
既設加納浄水場(施設能力=121,000m3/日)は、施設能力153,000m3/日に段階的な更新事業を実施中であります。
当社は、当該事業の一環として、既設高速凝集沈殿池および天日乾燥床等を撤去して、その跡地に急速ろ過池、塩素混和池および薬品注入棟を新設するための詳細設計を行いました。
急速ろ過方式は、ろ過の抵抗が生じた時に自動で洗浄する方式【自然平衡方式】を採用しました。
【 自然平衡方式模式図 】
郡本浄水場沈澱池基本設計
【工業用水道事業】
工業用水道事業法では、製造業、電気供給業、ガス供給業および熱供給業の工業の用に供する水を工業用水とよびます。
工業用水道施設は、取水施設、貯水施設(ダムなど)、導水施設、浄水施設、送水施設、配水施設から構成され、取水量ベースで日本の水需要の13%を占めています。(平成30年現在)
千葉県工業用水道事業では、平成28年3月に施設更新・耐震化長期計画を策定し、計画方針に基づき順次施設の更新、耐震化を進めています。
【沈殿池更新設計】
郡本浄水場の原水は山倉ダムから導水された水であり、年間を通じて比較的濁度は安定していますが、ダム修繕時には養老川から取水した河川水が直接浄水場に導水される際は原水濁度の上昇が生じます。
郡本浄水場は現在、1~4号沈殿池(横流式沈殿池)で浄水処理していますが、1・2号沈殿池更新にあたり、既存施設を継続運用しながら場内空地での更新とするため、滞留時間が短縮でき、設置面積も小さい傾斜管式沈殿池を採用しました。
上図:横流式沈殿池、下図:傾斜管式沈殿池
大野水源地紫外線処理施設整備及び耐震化更新基本設計
計画水量5,600m3/日の既設水源地(取水施設、浄水場、配水池)の全面更新を実施するための基本設計を行いました。
電気探査による帯水層分布状況
業務においては、既設取水施設(集水埋渠)の潜水夫による目視調査および電気探査・揚水試験を実施して、当該地における帯水層分布状況および取水可能量の推定も実施して、水道施設に求められる安定供給が可能な施設計画としました。
施設更新後の設備フローは、クリプトスポリジウム対策として、新たに紫外線滅菌設備を追加することとしました。
集水埋渠内の目視調査写真
金町浄水場第5急速ろ過池‧8号配水池補修及び耐震補強基本設計
金町浄水場は江戸川の表流水を1日平均約80万t取水・処理して都内12区の約250万人に供給している水道施設です。
本業務では場内で稼働中の急速ろ過池と配水池の躯体・設備の調査、補修検討を行うとともに大規模な地震にも耐えられる施設とするため、躯体の耐震診断を行いました。
【耐震設計の目的】
▶︎ 地震時の人命損失を招くような被害を防ぐ
▶︎ 地域住民の生活や生産活動に支障をきたすような機能低下を抑制する
【地震の規模と発生確率】
▶︎ レベル1地震動(構造物の供用期間中に数回程度発生する規模の地震動)
▶︎ レベル2地震動(構造物の供用期間中に発生する確率の極めて小さい強い地震動)
人見浄水場非常用発電機更新実施設計
【非常用発電装置の目的】
非常用発電装置は、電気事業者からの商用電源(常用電源)などが停電した際に、施設を継続運用していくために重要な設備に対して電源を供給するための装置です。
近年大型台風の影響などで送電線や鉄塔の被害も発生しており、長時間に対応できる非常用発電設備に更新している実情もあります。
浄水場(工業用水道)では、停電などの非常時でも安定した水供給のため受変電設備、配水設備、取水設備、薬注設備、沈殿池水処理設備など多くの電力を必要とします。
【整備方針】
現在の非常用発電装置は、ディーゼル発電機(875kVA)で連続稼働12時間です。更新後はディーゼル発電機(2,000kVA)とし、連続稼働72時間に対応できる施設として整備しました。
新発電機棟断面図
人見浄水場配水池更新基本設計
千葉県では計画期間40年の千葉県工業用水道施設更新・耐震化長期計画を平成28年3月に策定し、計画的に施設の更新・耐震化を進めていくこととしています。
人見浄水場でも取水施設、浄水施設、配水施設が対象となっており、限られた敷地内でスクラップアンドビルドを繰り返すことで段階的に施設の整備を進めていきます。
配水池は企業が使用する水の時間的・日間的な変動を吸収できるように水を貯めておく水槽のようなもので、一般的に浄水場の最終施設として配置されています。
人見浄水場土木施設及び建築施設の系統図
人見浄水場は目の前の小糸川から取水していますが、洪水ハザードマップでは小糸川が氾濫した場合は敷地内で大規模な浸水被害が想定されています。
被災後でも速やかに通常操業させるため、配水池更新にあわせて、管理棟を配水池の上部に配置する一体構造を検討し、採用されました。
配水池上部に管理・制御機能を置くことで浸水の直接的な被害を避けることができます。
谷ケ原浄水場二次濃縮設備更新工事基本設計及び詳細設計
谷ケ原浄水場は供用開始から80年を経過する上水施設で、現在は2市1町(相模原市、厚木市、愛川町)に給水する県営水道の主要な浄水場です。
浄水場内での処理系統は浄水処理と排水処理に大きく分けられます。
浄水処理は取水した原水の水質に応じた薬注設備を加え撹拌、沈殿処理されて水道水となっていきます。排水処理は浄水処理工程から排出される沈殿池に堆積したスラッジ、ろ過池の洗浄排水等を固液分離処理し、固形物を脱水ケーキとして搬出させます。
二次濃縮設備は排水処理設備の中の一つで、浄水場の機能上、運用上欠かせない施設となっています。
屋外に配置されていた二次濃縮設備を更新するにあたり、旧脱水機棟を改修してその中に配置する計画を行いました。
設備能力も浄水処理能力に合わせて最適な仕様、機種を選定し、既存建屋内という制限された空間で維持管理や保守点検が可能なよう十分考慮した設計としました。
金町浄水場第5急速ろ過池‧8号配水池耐震補強及び補修実施設計
1.耐震診断・補強設計
耐震設計は東京都水道局耐震設計ガイドラインに準拠したうえで、以下の要領で実施しました。
表-1 耐震診断設計
解析手法 | 解析モデル | |
レベル1地震動 | 静的線形解析 | 2次元フレーム (3次元性考慮) |
レベル2地震動 | 静的非線形解析 (プッシュオーバー解析) | 2次元フレーム (3次元性考慮) |
表-2 耐震補強設計
解析手法 | 解析モデル | |
レベル1地震動 | 静的線形解析 | 2次元フレーム (3次元性考慮) |
レベル2地震動 | 動的非線形解析 | 2次元FEM 地盤一構造物連成系 |
表-3 一次元地盤応答解析結果
地震波名称 | TG'(秒) | 採用波形 | |
A-1 | 2004年 K-NET 十日町 NS | 0.760 | 方法2 |
B-1 | 神戸海洋気象台 NS | 0.576 | |
B-2 | JR鷹取駅 NS | 1.192 | 方法3(直下型) |
B-3 | 東神戸大橋 N78E | 0.548 | |
B-4 | ポートアイランド NS | 0.836 | |
B-5 | 2004年 K-NET 十日町 NS | 0.744 | 方法3(直下型) |
B-6 | 2007年 茹羽村 NS | 0.904 | |
C-1 | 2003年 K-NET 直別 EW | 0.584 | |
C-2 | 2011年 K-NET 日立NS | 0.792 | 方法3(海溝型) |
平均 | 0.800 |
速度応答スペクトル
モデル図(局部拡大)
2.補修設計
補修設計は躯体の劣化補修、弁・配管類の劣化補修を対象に行いました。
躯体劣化は管廊内の劣化状況を目視調査した結果をもとに、ひび割れ部、鉄筋露出部、目地部毎に補修方法を決定しました。
ひび割れ注入工法
(エポキシ脂シール材 2種)
(W=0.2mm以上 1.0mm未満)
ひび割れ充填工法
(Uカットシール材充填工法)
(W=1.1mm以上)
弁・配管類は目視調査の結果から錆落とし・塗装工と更新とに分類分けして補修設計として取りまとめました。